国立新美術館

国立新美術館印象派展見た。六本木の桜、きれい。

ファンタン=ラトゥールの肖像画は表情が面白い(影が入って、視線はしっかりしているのか、瞑想・没入めいているのか読み取りにくい)。

カナレットの風景(都市)画は、画面のあらゆるところにフォーカスが当たっており、この展示の大部分とは異質。モダニズム批評っぽい用語を使えば、一瞬のうちに画面全体に視線を向けたような――それと対比して、印象派の絵画では、その都度その都度焦点の結ばれる箇所が限定される視線の動き(それにともなう時間感覚)のようなものを感じる――張り詰めた感覚があった。

ドガの《控え室の踊り子たち》は黒色の輪郭線のようなものが見えて、印象派という括りではやや異質(だが、調べて見ると、おなじモチーフでやはり黒の輪郭線を用いているみたい)。マティスの踊り子をふと思い起こしたりした。

セザンヌの《庭師ヴァリエ》には感動した。色彩(青や緑系統)は山を扱う作品のそれを思わせる。お客さんもよく集まっていた。

ピエール・ボナールは名前さえ知らなかったが、《室内》のあれは鏡に映った様子なのかな、画中画のように枠が切り取られていたが、枠の内外の筆致の違いが面白かった。壁を塗っているのか、枠の外は言ってみればモダニズムをやや先取りするかのような平面的な厚いタッチで、視線をどこにも誘導しない。そこを突き抜けられるという幻想も産まない(ゆえに平面的)。それゆえ自然と画中画のほう(言ってみればモダニズム以前の)へと視線が向かってしまうように感じた。

これだす。

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