堀辰雄「風立ちぬ」

堀辰雄風立ちぬ」(『風立ちぬ・美しい村』新潮文庫

はじめて読んだ。いくつかのセクションに分かれているが、人称の使用が面白く読めた。冒頭と末尾のセクションのみ、恋人が「お前」の二人称。冒頭では呼びかければ相手がいるが、末尾ではこの呼びかけを受け止める生者はいない――しかし、そういった死者へよ呼びかけこそ、頓呼法らしさであって、末尾のセクションには、ひとり言なのか呼びかけなのか自身でもよく分からない心内文が多い。

 

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)