ヴァイオレット・エヴァーガーデン第9話

こんなに「右手」の描写に溢れた作品だったのか。自動車の振動に上乗せで情動で震えてしまうの、義手なのに感情で震えてしまうの、ええなぁ。動かないもの(義手や紫色の花)が動くというのが、アニメーションの原理論であるとともに、感情という本作の謎というか主題と絡む週で、なかなかの回収だった。

アバンタイトルの戦争描写は第1話Cパートですでに見ているが、劇伴がまったく異なっているし、おそらく声優の芝居は撮り直しであろう。

本作でのヴァイオレットちゃんの感情(石川由依の芝居)の振れ幅を第1話で見せてしまって、当初はもったいないことをしていると思っていたが――淡々とした発声が基調のキャラクターにおいてあれだけの感情の発露があることは驚きとして温存できた――第1話から9話までのさまざまな場面や芝居の蓄積があれば、単純な反復となるはずもなく、かりに撮り直しではなく音声のバンク活用になっていたとしても、この芝居に視聴者が読み取れてしまう情動性は高まっている。

個人的な趣味だが、来週は山田尚子絵コンテで姫様のツンツン新婚生活をお送りしてほしい。

あと、カトレアさん(CV遠藤綾)とベネディクト(CV内山くん)は早くくっついてほしい。

家族社会学新書2冊

筒井淳也『仕事と家族:日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書、2015年)

同『結婚と家族のこれから:共働き社会の限界』(光文社新書、2016年)

光文社のほうから読んだ。

方法論としては、量的(統計的)な実証。したがって、異性愛を暗黙の前提としており、規範性の記述に近づいていく(では同性愛カップルはどうなるの? などは論じられない。幼いころの家庭環境から一人の生活を選ぶ人は? シェア生活に落ち着く人は? などは論じることができない)。ただ、それでも、「すでにみんな知っていること」にめんどくさい手法で到達する、という「社会学あるある」に終始するわけでもないところが読みどころだろう。(数々の前提となっている誤解をほぐす場面が多かったように思う。)

あと、「モテない俺」への処方箋も書いてない。社会学だから。

 

 

 

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界 (光文社新書)

 

 

りゅうおうのおしごと!

第9話、今回の棋譜はいいのを持って来てくれた。

桂香さんの将棋も見たかった気がする。

あと、こちらの世界の名人、穴熊を崩して王手をかけていくところ、着手前に「震え」のアニメートが入っていたが、当然とはいえ、こちらのフィクション世界でもモデル(の一人)は羽生さんなんな。(棋譜も羽生さんのものだが。)

citrus

citrus』第9話、理事長、副会長(あちらさんの幼なじみ)、父親、こちらの幼なじみ(CV井澤詩織にこういう芝居あるんですね…)と阻害の要素がついきに突きたような気がする――予告を見ても。この枠の「一迅社」宣伝、聞いているほうが恥ずかしくなる週のほうが多いけれど、今週のは良かった。

オープニングのBメロというのか、サビに向かう尺の長いカットでの「振り向き」のリレー、かっこええっす。

高橋丈夫監督については、いまだに「ヨスガ」級の優良演出・作画アニメを期待して毎作品ごと見てしまう。(「反=アニメ批評」てブログ店じまいしてんのけ。)

ルドン展

三菱一号館美術館にて、オディロン・ルドン展。

ずーっとなにかが引っかかっていたのだが、展示をまわっていて不意に『惡の華』のモノクロ画のことだと気がついた。

ついでに併設の喫茶店も行った。

ルドンー秘密の花園|三菱一号館美術館(東京・丸の内)

りゅうおうの…追記

8話、夜叉神の棋譜中継の画面、画面左の棋譜履歴での先後のマーク(▲△)が先後逆。

にしても、相腰掛け銀のいい盤面だ……笑 後手、飛車をまわらずに銀を角にぶつけたらどうなるのかな。

りゅうおうの…見て

りゅうおうのおしごと!』では現実がフィクションを何度も越えているが(藤井聡太六段の活躍は言うまでもなく、先日の戦後最長手数更新はこの一戦の持っている意味合いを知ると凄まじいものがある)、しかし、里見先生の奨励会退会のお話では、女流については「おしごと!」がまだまだぬるい(現実はもっときつい)のがなんとも切ない。

(女流名人戦、リーグ戦9戦全勝で挑戦者となった伊藤沙恵女流二段を3連勝で下して9連覇した――十分「ラノベ」でしょう――里見香奈女流五段が勝ち越せなかった三段リーグとは。)

あと、関係ないかもだが、先日の藤田綾女流二段の結婚のお話は、監督者付き添いとして行った舞浜のあの国で知って、すっごいむごい気持ちになりました……(まわりはみんなキラキラしてたぜ)。

室やんと茅野さんと種ちゃんの結婚のニュースすべてを聞いたら俺はもうこの世界には関心がない。