出合小都美インタビュー

創刊30周年『月刊ニュータイプ』2015年4月号の特集「Talk to the Future」より出合小都美さんのインタビューをようやく読んだ。若手演出家へのインタビュー特集のお一人だった。

見開き1ページの分量。後半左側ページは制作中だった監督作品『ローリング☆ガールズ』の話で、前半右側ページで(私の目当てだった)アニメ演出に関わるまでの経歴が語られている。

見出しに「 “物語あきり” での映像演出に興味があった」とありつつ「実写ではなくアニメを選んだのはたまたまなんです」とも。

けっこう気になっている話題が冒頭から登場する: 

――いきなりで失礼なんですが、監督は今おいくつなんでしょう?

出合 確か……34歳です。最近、はっきりしなくて(笑)。もうすぐ人生の折り返し地点ですね。(102ページ) 

ほんと、失礼だから(笑) 1980年生まれだそうです。

「CMやモーショングラフィックスの仕事をしたい」と思っていたそうだが、「物語ありきで映像を演出する仕事がやってみたいなと思った」そう。そして、選ばれたのがドラマでも映画でもなかったのは、渡辺信一郎さんの特集を読んで「そんなに絵が達者でなくても、制作進行という役職から演出になることができるのを知って」だそう。

サムライチャンプルー』(2004)がはじまるタイミングで、マングローブの求人があって、アニメ制作会社に入社。

演出の「師匠」にあたる方として、「マングローブにいた方は、皆さん師匠だと思っています。勝手に(笑)」としつつも、「渡辺さんはもちろん、村瀬修功さんとか、中澤一登さんとか」とお名前を挙げる。

映画では、「マイナーな幹事の作品が好き」として、『バグダッド・カフェ』、ダーレン・アロノフスキーを挙げている。

 

月刊ニュータイプ 2015年 04 月号 [雑誌]

月刊ニュータイプ 2015年 04 月号 [雑誌]

 

 

君の名は、百日紅、ここさけ、ほか

レンタルでここ最近の劇場アニメを何本か。思い出した順で。

新海誠君の名は。

すれ違い、通信メディアの時差、回転運動、人物より背景の書き込み、タイムラプス、ミュージックビデオ風の構成、など新海モチーフの昇華を見た。

アバンタイトル~オープニング~Aパートと深夜アニメかと間違うほどの(あのリッチな画面では間違えようもないが)標準的なフォーマットをとりつつ、アバンは例の事件の回避後かつ再会前という時系列で考えればかなり狭いところから始めつつ、初見ではその事実などまったく分からず(ファーストショットの彗星落下の縦構図が見事すぎてそれどころではない)、しかし、その把握しそこないは視聴を続けることをまったくさえぎらず、以下全編をとおして、バランス感覚のよい構成だった。

(蛇足ですが、「絵が描ける男の子」みたいなモチーフは、オタク趣味とまではいかなくとも、ガチ文系なわけだが、どう映ったんだろう。記憶を頼りに風景を再現しようとする場面、僕は泣けたが。)

入れ替わりが把握された瞬間にはじまる、タイムラプス(あの筆致で背景が「動く」恐ろしさ)を基調としてミュージックビデオふうの構成などは本当に見ていてワクワクする。(ひとつのバンドの曲を多用するというのは、「フリクリ」やら「ローリングガールズ」やらで見かける演出だが、あまり振るわないものだと思っていたが。)

御神体のあるほら穴での入れ替わり&タイムリープの作画は圧倒的だった。いいものを見た。

「回避」後の世界では、あぁ新海だなぁというモチーフがたくさん出て来るが(並行して走る列車、都内の集合住宅、山崎まさよしの歌詞的な「探しているよ」感)、それを1200年周期で周回する彗星の軌跡という枠組みに当てはめて、二人の再会として昇華したのは見事だった。(これまでの新海作品は、この「周回」への期待のようなものがなかったと思います。天体学モチーフでいえば、永遠に遠くへと宇宙を飛んで行ってしまう、離れてしってしまうような。)

あと、長澤まさみが声の芝居がけっこううまい。

原恵一百日紅

オムニバスふうの構成で、やや気が抜けた。作画はすごいが。

エンディングの終わりに出て来る浮世絵は、葛飾応為の本物の作品だそうだ。

長井龍雪岡田麿里心が叫びたがってるんだ。

長井っぽさというのは実はよく分からなくて(「あの花」OPや「凪あす」OP2のようなイメージなのだが)、それよりも、岡田麿里の作品として見た。

核家族が機能不全を起こしているのはいつものことで、しかもそれが「父」(というか、なりきれなくて「男」(「オトコ」?)なんだよな)に起因しているのも、うんうん、と見た笑

廃墟となったラブホテルで相手の嫌なところを大声で言って聞かせる場面など、「あの花」の神社の場面を思い起こさせるが、しかし、「自分の気持ちが伝わる」という場面を、こういう刺々しいというか、痛々しい――つまり、周囲からみると、その必死さが伝わりきらないというか、浮いて見えるというか、誰にとっても痛切ではないの――方法でしか表現できない脚本家は好きかもしれない。応援する。

声優の話をしてしまえば、雨宮天の正統ヒロイン系統の声をひさしぶりに聞いて、やっぱりきれいな声をしているなあと聞き惚れた。(アクア様系統の芝居も好きですが。)

ミュージカルに謎の説得力があるというのは、僕もそう思うのだけれど(実写映画のミュージカルはわりと好き)、これはなんででしょうね。

石浜真史ガラスの花と壊す世界

まだ種田梨沙が病気療養期間だったので、声を聞けただけで嬉しかった。

脚本は難しかったです。

最近の仕事だと、オープニング、エンディング職人であることはかわりなく、あるいは、『四月は君の嘘』1クール目の絵コンテ・演出回(しかもこの週は小島崇史一人原画だという)などとふと思い出します。

新房昭之尾石達也傷物語

ようやく第三部まで見た。これだけ制作が遅れて、先送りになって、そのあいだに東京オリンピックの開催が決まって、というのが想像される舞台だった。

原画さんの個性が比較的見て取りやすい戦闘作画は、たしかに、オリンピックを連想させるスペクタクルにはなっているのだが、しかし、物語の進展にはまったく貢献せず、というか、第三部になると、もう、進めるべき物語の残りのマス目がない。見ていてけっこう苦しかった。

個人的には第二部を推す。人間と吸血鬼(人間を捨てる、止める)のが構図ではっきり示されていた。

細田守バケモノの子

「おおかみこども」でもそうだったんだけれど、図書館デート(自習スペースじゃなくて書架のあいだ)、いいなぁ。メルヴィルの活用は、そこまでこの作品の本質には触れないと思うが、渋谷スクランブル交差点のあたりの道路をクジラがもぐっている映像など、あれは良かった。

サマーウォーズ」でも「おおかみこども」でも本作でも、細田守の家族観は、おそらく、イデオロギーとしては、いろいろ言いたいことがあってもおかしくないと思う。隙が多い。

広瀬すずも声の芝居は行ける。

なにか忘れているかもしれないが、とりあえず。

7月期アニメ

7月期のアニメについては、『恋と嘘』を楽しく見ている。しかし、男主人公の無色透明さ、古墳ネタがかろうじて「個性」なのか、可愛いヒロインを見せるため「だけ」に存在しているかのような。そういった役柄を理解しきっているような逢坂良太の芝居が印象的。

ボールルームへようこそ』は、本当に期待していた。この手の主題を扱うにあたって、ロトスコープを採らなかったというのがまず冒険に映ってしまうという、今日の深夜アニメの制作技術状況に思いを馳せる(ただの妄想しかないが笑)。2話の練習シーンでの振り付けコピーをはじめとして、振り付けの動性(個々のアニメーションが予期させる、余韻めいた動き)を面白く見ている。とくに、なんとか君という踊りの上手な男の子の振り付けの動性が、主人公君に引き継がれる場面などは、「完コピ」の主題を上手に映像化していると思う。

第4話を見ていて気がついたが、オープニングのクレジット、黒枠&白地の文字がずれて、赤枠&赤地の文字(影)がスライドするように出て来るのだけれど、まさに本編での動性のコピーを分かりやすく見せていると思う。

細田守

細田は『ときかけ』『サマーウォーズ』『おおかみこども』を。

最近はよく物語の終わりについて考えていて、『おおかみこども』は若干10歳で山の主になる雨(弟)――狼の寿命はどれくらいだろう――と中学校に進む段階で母親の半生を語り出す雪(姉)と、なんともおかしなものだと感じた。そこでナラティブが閉じるわけがない。

あと、井上さんの有名な場面の作画はさすがだった。姉の幼少期の芝居が良かった。

『ときかけ』は作画が自由で、それだけですでに楽しかった。

『サマウォ』は花札、ハッキングといったモチーフがいまいち分からなかった。しかしこの作品があってこそ、『ガッチャマンクラウズ』などが成立しているというのも分かる。

傷物語(中巻)

傷物語』をレンタルで中巻まで。

「人間を捨てる」動性があるように感じた。

(羽川との競技場付近での会話から、末尾の場面まで。)

賭ケグルイ

賭ケグルイのオープニングの荒川UB感。(山本沙代さんの仕事)